第3部 第17章 財政・地方自治 一、財政


一、財政

二、地方自治


次のページ・・・二、地方自治

1つ前のページ・・・第16章四、違憲審査制


一、財政

ケンくん
ケンくん

よーし、三権分立の国会、内閣、裁判所の勉強が終わったぞー!これでもうやることはないね♪あー疲れたー。



まだです。最後に財政地方自治について説明します。

もう勉強<br>ヤダー!<br>ヤダー!<br>ケンくん
もう勉強
ヤダー!
ヤダー!
ケンくん

えーもういいよー。面倒くさい!憲法は国民主権、平和主義、基本的人権の尊重、の3大基本原理があって現代立憲主義を成立させて、そのしくみを統治する機構として国会、内閣、裁判所の三権があるんでしょ。これだけやればもう十分だよー!



こらこら。私たちの生活は政治で成り立っています。

橋を造ったり、ダムを造ったり、と政治には莫大なお金がかかります。
一人一人の力は小さく、また普段の仕事や生活もありますから、政治なんかしていられません。

そこで誰か人を雇って人にお金を払って政治を行なってもらうのです。
これが地方自治の始まりです。

一人一人ではできないことを地方自治の政治で行い、地方自治の政治ではできない立法、行政、裁判、などを国にお願いする、というしくみになっているのです。

地方自治が大本にあって、地方自治を全体的にまとめているのが国なのです。

この政治に必要なお金は私たち一人一人の財布から出ています。
そのお金の使い道財政)について学ぶことはとても大事なことだと思いませんか?

地方自治の政治が大本にあって、国の政治がある。
その政治のお金の使い道財政)について学ぶことはとても大事。
ケンくん
ケンくん

うーん、納得!それじゃ最後の財政・地方自治がんばるぞー!



わかってくれましたか。ではまず財政から説明します。

1 財政民主主義



国家が使用する費用は国民が負担するものです。
財政の適正な運営は国民の重大な関心です。

憲法では財政について国民の代表機関である国会が強いコントロールを及ぼしています。
これは民主的コントロールがされているといえます。これを財政民主主義といいます。

憲法

第83条  国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。






2 租税法律主義



租税とは国、又は地方公共団体が、課税できる権利に基づいて使用する経費のために、一方的、強制的に徴収する金銭のことです。

租税法律主義とは、どんな人も法律の根拠がなければ税を課されたり徴収されたりすることがない、とする考え方です。

例えば自動車税。自動車に乗る人は自動車税を徴収されます。

この旨は自動車税の徴収に関する法律に示されています。
これを根拠に自動車に乗っている人たちから自動車税を徴収するのです。

憲法

第84条  あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする





国の支出はすべて国会の議決を経なければなりません(85条)。
また公金支出の禁止といって特定の団体に国がお金を与えることを禁止しています(89条)。

ケンくん
ケンくん

特定の団体に対する公金支出の禁止は、第8章 精神的自由権1-内心の自由-二、信教の自由でやったね。愛媛玉串料奉納事件では、特定の宗教団体に公金を支出することを禁止していたね。

3 予算



予算とは、一会計年度(4月1日~翌年3月31日)における国の財政行為の準則のことです。
準則とはのっとるべき規則のことです。

予算を決めたけど、実際には少しお金が足りなかったから、少しつぎ足ししよう、という具合に修正することもできるという意味です。

予算の作成、提出権は内閣にあります(73条5号)。
国会の議決においては衆議院に先議権があり、衆議院の優越も認められています(60条)。

憲法

第86条  内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。


ケンくん
ケンくん

うん。衆議院の予算先議権は1予算についての衆議院の優越は、第14章 国会三、国会の組織と国会の活動 でもやったね。

(一)予算の法的性格



予算は財政民主主義の観点から、重要な財政監督手段です。
そのため単なる歳入歳出の見積もり書をたてているわけではありません。

政府(行政)の行為を規律する法規範である、と考えるべきです。

しかし、予算は政府を拘束するが、国民を拘束しないなど、通常の法律にはない特徴があります。

したがって争いはありますが、予算は法律ではないが、法律と並ぶ独自の法形式である、と解するべきだといわれています(予算法形式説:多数説)。



(二)予算の修正





国会が予算の修正をします。国会の予算修正権の行使です。

予算の修正について争いはあります。財政民主主義の観点から減額修正については問題ありませんね。

お金が余る分にはけっこうな話です。問題は増額修正です。

争いはありますが、ある程度の増額修正ができるとされています。
但し予算の同一性を損なうような大きな修正はできません(限界説)。



(三)予備費



たしかに予算を予見するのは難しいことです。
予見しがたい予算に充てるために国会の議決に基づいて予備費を設けます。

予備費は内閣の責任で支出できますが、その後に国会の承諾が必要となります(87条2項)。

国会の事後の承認が得られない場合は、内閣の政治責任が生じますが、支出の法的効力に影響は無いとされています。

憲法

第87条  1項 予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
2項  すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。



(四)暫定予算



暫定予算とは会計年度開始までに予算が成立しない場合、その成立までの空白期間をつなぐため一時的に実行される予算です。

暫定とはしばらくの間、一時的、という意味です。

暫定予算は正規の予算が成立したときには失効します。



(五)決算

さて、無事に一年度が終了すると、実際に行なわれた歳入と歳出の総計算が出てきます。

これが決算です。決算はまず会計検査院が検査をします。

会計検査院は独立行政法人(第15章 内閣一、行政権と内閣)です。次に、次年度に内閣が国会に会計検査院の検査報告とともに決算を提出します。

憲法

第90条  1項 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。
2項  会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。







ケンくんノート

【まとめ】
第3部 統治機構
第17章 財政・地方自治
一、財政

1、財政民主主義とは、財政について国民の代表機関である国会が強いコントロール
(民主的コントロール)を及ぼすことをいう。

2、租税法律主義とは、租税は国民に対して直接負担を求めるものだから、必ず国民の
同意を得なければならない、という原則のことである。国の支出はすべて国会の議決を
経なければならない(85条)。特定の団体に国がお金を与えることを禁止している
公金支出の禁止)(89条)。

3、予算とは一会計年度(4月1日~翌年3月31日)における国の財政行為の準則のことである。

(一)予算の法的性格は、予算法形式説が多数説である。予算法形式説とは予算は
法律ではないが、法律と並ぶ独自の法形式である、と解するべきである、という考え方である。

(二)予算の増減額修正について、財政民主主義の観点から減額修正については
問題ないが、増額についてはある程度までの修正が認められる、としている(限度説)。

(三)予見しがたい予算に充てるために国会の議決に基づいて予備費を設ける。

(四)会計年度が開始するまでに予算が成立しない場合は、暫定予算が設けられる。


第3部 第17章 財政・地方自治 一、財政 おしまい

次のページ・・・二、地方自治

1つ前のページ・・・第16章四、違憲審査制

タイトルとURLをコピーしました