一、財政
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一、財政
よーし、三権分立の国会、内閣、裁判所の勉強が終わったぞー!これでもうやることはないね♪あー疲れたー。
まだです。最後に財政と地方自治について説明します。
ヤダー!
ヤダー!
ケンくん
えーもういいよー。面倒くさい!憲法は国民主権、平和主義、基本的人権の尊重、の3大基本原理があって現代立憲主義を成立させて、そのしくみを統治する機構として国会、内閣、裁判所の三権があるんでしょ。これだけやればもう十分だよー!
こらこら。私たちの生活は政治で成り立っています。
橋を造ったり、ダムを造ったり、と政治には莫大なお金がかかります。
一人一人の力は小さく、また普段の仕事や生活もありますから、政治なんかしていられません。
そこで誰か人を雇って人にお金を払って政治を行なってもらうのです。
これが地方自治の始まりです。
一人一人ではできないことを地方自治の政治で行い、地方自治の政治ではできない立法、行政、裁判、などを国にお願いする、というしくみになっているのです。
地方自治が大本にあって、地方自治を全体的にまとめているのが国なのです。
この政治に必要なお金は私たち一人一人の財布から出ています。
そのお金の使い道(財政)について学ぶことはとても大事なことだと思いませんか?
地方自治の政治が大本にあって、国の政治がある。 その政治のお金の使い道(財政)について学ぶことはとても大事。 |
うーん、納得!それじゃ最後の財政・地方自治がんばるぞー!
わかってくれましたか。ではまず財政から説明します。
1 財政民主主義 |
国家が使用する費用は国民が負担するものです。
財政の適正な運営は国民の重大な関心です。
憲法では財政について国民の代表機関である国会が強いコントロールを及ぼしています。
これは民主的コントロールがされているといえます。これを財政民主主義といいます。
財政民主主義 |
2 租税法律主義 |
租税とは国、又は地方公共団体が、課税できる権利に基づいて使用する経費のために、一方的、強制的に徴収する金銭のことです。
租税法律主義とは、どんな人も法律の根拠がなければ税を課されたり徴収されたりすることがない、とする考え方です。
例えば自動車税。自動車に乗る人は自動車税を徴収されます。
この旨は自動車税の徴収に関する法律に示されています。
これを根拠に自動車に乗っている人たちから自動車税を徴収するのです。
国の支出はすべて国会の議決を経なければなりません(85条)。
また公金支出の禁止といって特定の団体に国がお金を与えることを禁止しています(89条)。
特定の団体に対する公金支出の禁止は、第8章 精神的自由権1-内心の自由-二、信教の自由でやったね。愛媛玉串料奉納事件では、特定の宗教団体に公金を支出することを禁止していたね。
愛媛玉串料事件(最大判平9・4・2) |
3 予算 |
予算とは、一会計年度(4月1日~翌年3月31日)における国の財政行為の準則のことです。
準則とはのっとるべき規則のことです。
予算を決めたけど、実際には少しお金が足りなかったから、少しつぎ足ししよう、という具合に修正することもできるという意味です。
予算の作成、提出権は内閣にあります(73条5号)。
国会の議決においては衆議院に先議権があり、衆議院の優越も認められています(60条)。
うん。衆議院の予算先議権は1予算についての衆議院の優越は、第14章 国会三、国会の組織と国会の活動 でもやったね。
(一)予算の法的性格 |
予算は財政民主主義の観点から、重要な財政監督手段です。
そのため単なる歳入歳出の見積もり書をたてているわけではありません。
政府(行政)の行為を規律する法規範である、と考えるべきです。
しかし、予算は政府を拘束するが、国民を拘束しないなど、通常の法律にはない特徴があります。
したがって争いはありますが、予算は法律ではないが、法律と並ぶ独自の法形式である、と解するべきだといわれています(予算法形式説:多数説)。
予算法形式説:多数説 |
(二)予算の修正 |
でもさあ、一会計年度なんて未来の話だから予算がどれくらいかかるか、なんてわかんないじゃん。もし予算が余りそうだったらどうするの?もし予算が足りなくなったらどうするの?
予算が余りそうだったらどうするか? |
予算が足りなくなったらどうするか? |
国会が予算の修正をします。国会の予算修正権の行使です。
予算の修正について争いはあります。財政民主主義の観点から減額修正については問題ありませんね。
お金が余る分にはけっこうな話です。問題は増額修正です。
争いはありますが、ある程度の増額修正ができるとされています。
但し予算の同一性を損なうような大きな修正はできません(限界説)。
予算が余りそうだったらどうするか? →問題ない。 |
予算が足りなくなったらどうするか? →ある程度の予算の増額修正ができる。 |
(三)予備費 |
たしかに予算を予見するのは難しいことです。
予見しがたい予算に充てるために国会の議決に基づいて予備費を設けます。
予備費は内閣の責任で支出できますが、その後に国会の承諾が必要となります(87条2項)。
国会の事後の承認が得られない場合は、内閣の政治責任が生じますが、支出の法的効力に影響は無いとされています。
予備費:内閣の責任で支出できるが、その後に国会の承諾が必要となる。 |
(四)暫定予算 |
暫定予算とは会計年度開始までに予算が成立しない場合、その成立までの空白期間をつなぐため一時的に実行される予算です。
暫定とはしばらくの間、一時的、という意味です。
暫定予算は正規の予算が成立したときには失効します。
暫定予算:会計年度開始までに予算が成立しない場合、一時的に実行される予算。 |
(五)決算 |
さて、無事に一年度が終了すると、実際に行なわれた歳入と歳出の総計算が出てきます。
これが決算です。決算はまず会計検査院が検査をします。
会計検査院は独立行政法人(第15章 内閣一、行政権と内閣)です。次に、次年度に内閣が国会に会計検査院の検査報告とともに決算を提出します。
決算:会計検査院が検査し、内閣が国会に、会計検査院の検査報告とともに決算を提出する。 |
第3部 第17章 財政・地方自治 一、財政 おしまい
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