第1部 第3章 国民主権の原理 二、国民主権

一、日本国憲法の基本原理

二、国民主権

三、天皇制


次のページ・・・三、天皇制

1つ前のページ・・・一、日本国憲法の基本原理


二、国民主権


国民主権とは、1章で前述したとおり、国民こそが政治の主役である、という考え方です。

ゴッツ先生の解説
ゴッツ先生の解説
専制政治の下では人権の尊重がおろそか
国民主権の下で人権の尊重がなされる。
国民主権とは、国民こそが政治の主役である、という考え方。


主権という概念は中世封建社会に専制君主が自分の権力を正当化するために用いたのが始まりです。
主権には3つの意味があります。

統治権(国家権力そのもの)を有している。
最高独立性(体内的最高性、対外的独立性)がある。
国政の最高決定権(国政のあり方を最終的に決定する権力)を有している。

ということです。

①統治権を有している。
(国家権力そのもの)
②最高独立性がある。
(体内的最高性、対外的独立性)
③国政の最高決定権を有している。
(国政のあり方を最終的に決定する権力)
ケンくん
ケンくん

中世封建時代かぁー。またこのイヤな王様が出てきたなぁー。



でも大丈夫です。この後市民革命によって国民主権の政治になりましたね。

ここで国民主権という概念について様々な議論がされるところとなりました。専制君主は一人だから主権が帰属していても不思議はありません。しかし国民はたくさんいます。

国民とはどのような者を指しているのか、主権とはどのようなものか、について様々な学説が対立しているのです。

国民とはどのような者を指しているのか、主権とはどのようなものか、について様々な学説が対立している。


ケンくん
ケンくん

それぞれどんな学説なの?




まずは有権者主体説です。
この説は主権とは国政を決定する力である、と定義し、この力を行使できるのは選挙権・投票権を持つ有権者だけである、と唱えている説です。

有権者主体説は政治を動かすことのできる国民に主権があるという、現実的なものです。
しかし選挙権・投票権のない未成年などは国民でなくなってしまう、という矛盾も生じてしまいます。

有権者主体説:主権とは国政を決定する力である、と定義し、この力を行使できるのは選挙権・投票権を持つ有権者だけである。すなわち有権者のみが国民主権の指す主権者である、とする説。


続いて全国民主体説です。
この説は主権とは国家の権力行使は主権者の意思に基づくもの、と定義し天皇を除くすべての人の全国民に主権がある、と唱える説です。

この説では主権を政治を動かすことのできる力としてとらえていません。
したがって、主権が国民にある、という意味が希薄化してしまいます。

全国民主体説:主権とは国家の権力行使は主権者の意思に基づくもの、と定義し、天皇を除くすべての人の全国民に主権がある、とする説



有権者主体説も全国民主体説も、いずれも通説とは定まっていません

国民主権の考え方は両側面を併せ持っている、と考えるべきなのです。

ケンくん
ケンくん

はっきりしていないんだね。先生のひげと顔の境目と同じだね。
先生はどこまでが顔で、どこまでがひげだかわかんないや。



そうですね。ってオイ!


ケンくんノート

【まとめ】
第一部 総論
第3章 国民主権の原理
二、国民主権

  主権の概念は
 ①統治権(国家権力そのもの)
 ②最高独立性(体内的最高性、対外的独立性)
 ③国政の最高決定権(国政のあり方を最終的に決定する権力)
 の3つである。

 国民主権の概念についての学説は
 有権者主体説
 全国民主体説
 がある、
 いずれの説も一長一短で通説は定まっていない。
 双方の説の両側面を併せ持つ、と考えると良い。


第1部 第3章 国民主権の原理 二、国民主権  おしまい

次のページ・・・三、天皇制

1つ前のページ・・・一、日本国憲法の基本原理

スポンサーリンク
シェアする
tetsuをフォローする
憲法をわかりやすく 〜略して「けんわか」〜ver2